診療科・部門紹介 TOKYO-SHINAGAWA HOSPITAL

外科

基本情報

東京品川病院 外科

  • 稲垣 大輔
    部長稲垣 大輔

 東京品川病院 外科のホームページを読んでいただき、ありがとうございます。
 私は外科部長の稲垣大輔と申します。2020年4月から、横浜市立大学外科治療学講座より私たち外科医チームが新たに赴任し、新体制となりました。これからも患者様や地域社会に貢献していきたいと思います。

1.外科の担当する病気と治療

 腹痛、咳や発熱など体調が悪いとき、多くの方はかかりつけの医院・クリニックや内科医を受診するかと思います。それでは、外科はどんな治療を行う科なのでしょうか?外科というと手術のイメージが強いかと思いますが、私たち外科医は急性虫垂炎(俗に言う“盲腸”)、胆のう結石症・胆のう炎、大腸憩室炎、腸閉塞、消化管穿孔、腹膜炎、鼠径ヘルニア(いわゆる”脱腸”)、腹壁瘢痕ヘルニア(手術の創部のヘルニア)、さらに食道がん、胃がん、大腸がん、肝がん、膵臓がん、胆道癌といった腫瘍などの、いろいろな病気の診療を担当しております。それぞれの病気に対して、外科的な手術はもちろんですが、ほかにも、胃カメラや大腸カメラといった内視鏡やバリウムによる消化管造影といった検査を行ったり、抗生剤・水分などの点滴やお食事を休むといった治療(保存的治療)、またがんに対する抗がん剤治療(化学療法、薬物療法)も担当しております。当院は救急告示病院であり、「断らない救急」を理念として掲げており、私たち外科も急な腹痛といった患者様を積極的に診療しております。

2.私たちの基本的方針

 当科は外科手術に関して、各疾患毎のガイドラインに準拠した標準的な治療を、より迅速に、より安全に、身体への侵襲がより軽くなるように提供することを、基本的な方針としております。
  手術まではとても不安な気持ちで時間を過ごす方が多いと思います。私たちは当院消化器内科や地域の医療機関から当科へ紹介いただいてから、状態の落ち着いた予定手術であれば、1〜3週間程度で手術が受けられるように、手術の前の検査、評価や入院と手術の準備を迅速に行っております。
  当院には多くの様々な専門科がありますので、高齢の方、糖尿病や心臓病といった病気をお持ちの方であっても、身体の状態や手術に耐えられるかどうかといったことを精緻に評価して、患者様の状況にあわせた手術前後の管理と治療を行っております。しかし残念ながら、慎重な全身評価と標準的な手術を行っても、手術の後には合併症(出血、血栓症、不整脈、肺炎、神経障害、吻合部つなぎ目の縫合不全,腸閉塞など)が発生してしまうこともあり得ます。合併症に対しては、スタッフ全員で早期発見して、症状が軽度な状況で適切な早期治療に努めております。
  患者様の身体への手術による侵襲(ダメージ)を極力へらすため、現在は腹腔鏡によるアプローチを積極的に選択しております。腹腔鏡アプローチでは、小さな手術創からカメラや器具をお腹の中に挿入してこれまでと同様の手技を行う方法で、開腹アプローチより手術後の痛みが軽くなったり、手術後にすぐ腸が動いて排便良好で食事をよくとれたり、ベッドに寝たきりにならないで身体を動かしたりリハビリが出来るようになるといわれております、結果として、体力低下を予防でき早期の自宅退院や社会復帰が可能になると考えております。当科には日本内視鏡外科学会技術認定医が勤務しており、さまざまな病気に対して腹腔鏡手術を安全かつ積極的に採用しております。

3.「がん」とその治療

 近年、社会の高齢化に伴い、がんを患う患者様は増加の一途であり、国家的に対がん対策が急務であります。当科でも、胃がん・大腸がん・食道がん・肝がん・膵がんなどの悪性腫瘍(治療しないと確実に生命に危険を及ぼす腫瘍、”できもの”)の治療に重点をおいております。腫瘍に対する検査と評価を行い診断・進行度を検討し、外科と消化器内科と合同でカンファランス(キャンサーボード)を行い、まず手術で腫瘍を取り除くか、もしくは抗がん剤治療(化学療法、薬物療法)を先行するのか、など治療方針を決定します。腫瘍によって腸の詰まり(腸閉塞)があるときには、症状を改善するために人工肛門造設や大腸ステント留置などを緊急で行うこともあります。手術に関しては、前述の腹腔鏡アプローチを用いて術後のダメージの少ない治療をこころがけておりますが、第一には愛護的な操作や適切なリンパ節郭清など腫瘍をしっかり根治することを目標とし、できるかぎり重要な臓器機能を保ちながら安全で標準的な手術を行っております。手術で腫瘍を切除し退院した後には、採血・CT検査・内視鏡検査といった検査を行いながら外来で経過を5年間はフォローします。残念ながら、腫瘍が再発してきた場合には、再発腫瘍に対する再手術(肝切除など)、抗がん剤治療、最新のリニアック装置による放射線治療などを集学的に行います。どのような状況でも、検査結果などを患者様に十分に説明し、ご本人が納得して希望の治療が受けられるようにサポートいたします。当科では神奈川県立がんセンターや国立がんセンター胃外科と常に情報共有・人材交流し、自身の技術を向上させ、最新のがん治療を提供しております。また、必要に応じて消化器内科、呼吸器外科、腫瘍内科、放射線科、緩和ケア科、専門看護師、ストマ外来と連携し、さまざまな状況にある患者様の抱えている悩みを解決していきます。

4.東京品川病院の特色

ここで当院ならではの特色をご説明します。

  1.  当院はリハビリテーションがハード面、ソフト面でも充実しております。外科手術の後は、治療のダメージによって一時的に身体機能が低下してしまうことがあります。私たちの施設では、患者様の状態を評価して、必要な方には手術の前から積極的にリハビリテーションを導入し、手術による体力低下を極力防ぐようにしております。近年、がんの治療におけるリハビリテーションの重要性が指摘されております。
  2. 当院には急性期病棟に加え100床の回復期病棟を有しており、また当院関連施設として回復期病院を多数備えております。これにより、手術の後に早く退院するのが不安な場合には、急性期病棟から比較的長期に滞在できる回復期病棟に移り、落ち着いてリハビリして体力の回復を待つことも相談可能です。このように、患者様のニーズに応えられるよう、通常の標準手術にプラスアルファの医療を提供しております。
5.おわりに

 私たちは、患者様それぞれの病気の状態や進行度、心臓・肺・腎臓など重要臓器の機能、生活の状況といった全身状態、そして患者様とご家族が治療について望むことを外科スタッフで総合的に検討し、どのような治療がベストかを考えます。最終的には、患者様にわかりやすく十分に説明し、よく話し合って、治療方法を皆で一緒に決定しております。外科医だけではなく、看護師、麻酔科医、手術室、リハビリテーション科、検査科、放射線科、薬剤部、栄養部のスタッフ、メディカルソーシャルワーカーなどによるチームで、多くの目の行き届いた、より質の高い医療を提供します。
  入院や治療、手術に際しては、まずは不安が強く,わからないことばかりと思います。私たちは、患者様とご家族のお話を伺ってその不安を可能な限り軽減し、そして安全な治療が行えるよう、精一杯努力いたします。

6.施設認定
  • 外科専門研修プログラム連携施設
  • 日本外科学会認定修練施設
  • 日本消化器外科学会認定修練施設
  • 日本がん治療認定医機構 認定研修施設
  • 日本胃癌学会認定施設B
  • 大腸癌研究会参加施設
  • 腹腔鏡下大腸切除研究会参加
  • 東京ストーマリハビリテーション研究会参加施設
7.手術件数

手術件数

8.NCDのデータベース事業について

PDF書類をご覧いただくには、Adobe Reader®が必要です。別ウィンドウマークの付いたリンクは、別ウィンドウで開きます。