消化器内科
膵疾患
膵疾患
- 膵嚢胞(IPMN MCN SCN 仮性膵嚢胞,等) 膵嚢胞とは膵臓の内部や周囲にできる袋状の液だまりのことです。症状がないものも多く、健康診断の腹部超音波検査等で見つかることが多い疾患です。
膵嚢胞は炎症性に出来たのもの(仮性膵臓嚢胞)や、腫瘍性(IPMN,SCN,MCN等)のものがあります。放置してよいものとありますが、悪性化のリスクがあり、手術が必要なケースもあるため出来るだけ正確な診断を行う必要があります。
当院では腹部エコー、CT、MRIに加え、近年発達している超音波内視鏡検査(Endoscopic ultrasonography: EUS)での検査を積極的に行なっています。膵嚢胞を検診で指摘された方や、以前膵嚢胞を指摘されていてより詳しい精査を希望される方の受診をお待ちしております。

- 膵癌 膵癌は年々増加傾向である疾患であり、また予後の悪い疾患として認知されています。胃や十二指腸の中から膵臓を詳細に観察できる超音波内視鏡検査の発展により膵癌の早期発見が可能になり、予後の改善が期待できます。
当院ではIPMN等の膵癌ハイリスクの患者さんをCT、MRI、EUS等の検査で定期的なフォローを行うことにより膵癌の早期発見・治療に努めています。
悪性腫瘍が疑われる病変に対してはEUS-FNA(超音波内視鏡下吸引法)により生検し確定診断をつけます。

- 急性膵炎後の膿瘍に対しての内視鏡的ドレナージ術 近年、超音波内視鏡検査(Endoscopic ultrasonography: EUS)の機器の発達、技術の進歩により、今までは高侵襲であった治療も低侵襲かつ有効に治療できるようになりました。急性膵炎等の腹部膿瘍に対してのEUS下ドレナージはその一つです。
当院では、EUSのエキスパートにより、同ドレナージ治療も積極的に行っています。

重症急性膵炎で生じた壊死組織に感染が生じ、膿瘍が広範に観察されています。

十二指腸下行部から6本のドレナージチューブを膿瘍腔に留置しました。

膿瘍腔は著明に縮小し、ドレナージチューブも2本を残し抜去しています。その後2本も抜去しましたが、再発はありません。
- 胆管結石及び胆管狭窄に対しての内視鏡治療について 高齢化社会を迎え、胆道結石、悪性腫瘍の患者さんが増えています。胆道は肝臓から分泌される「胆汁の流れ道」であり、十二指腸につながっている胆管と胆汁を貯蔵し濃縮する袋である胆嚢から成ります。胆嚢と胆管が合流し、十二指腸につながっている部分を総胆管と呼称します。
総胆管に結石や腫瘍が生じ、胆汁の流れが妨げられてしまうと、黄疸が生じ、炎症が起きると(急性胆管炎)、容易に菌が肝臓を介して全身を巡ってしまう敗血症を発症することがあります。敗血症は多臓器不全に至る重篤な病態であり、緊急の対応が必要です。
内視鏡治療(ERCP関連手技)は手術による治療と比較して、少ない侵襲で、大きな治療効果が得られることが特徴です。上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)同様に口から内視鏡を挿入し、X線透視を用いながら、十二指腸を介してステントの留置、結石の除去を行います。
当院では、通常のERCP関連手技の他、ERCPのエキスパートにより難易度の高い胃術後のERCPも積極的に行っています。

術後腸管に対するERCP